ウダイプル旅行記

週末3連休で時間ができたので、インド駐在時代の旅行について、旅日記としてまとめておくことにしました。


まず初回はウダイプルUdaipur。2004年8月24−26日、祝日と週末をあわせて3連休を利用してのあわただしい日程でした。5月末にインド・ムンバイに赴任してから約3ヵ月後、初めてのインド国内旅行でした。
ウダイプルは、インド北西部、ラジャスターン州にある都市です。かつてインドにたくさんあった藩王国のうちのひとつで、いわゆるマハラジャが統治する国でした。観光名所は多くありませんが、藩王の宮殿であるシティ・パレス、そして人口湖ピチョーラー・レイクに浮かぶレイクパレスホテルなどがあります。


写真手前の白い建物が、レイクパレスホテル、その奥に見える土色の建物がシティ・パレスです。手前の草原地帯は、普段は水が満々とたたえられた湖なのですが、今年は雨の量が少なく干上がっているとのことでした。ただ、反対側、ホテルの奥には湖が見えますね。湖に浮かぶホテルということでレイクパレスホテルの名がつけられており、宿泊する場合には岸からボートに乗っていくことになります。


私たちが泊まったホテルは、レイクパレスホテルではなくUdaivilas、インドの高級ホテルグループであるオベロイホテルのひとつです。HPを見ると分かりますが、藩王国時代の宮殿が現代によみがえったかと思えるような豪華なホテルです。その分値段も相当なもので、最初HPで料金を見たときにはずいぶん高いと思いましたが、幸い、雨季割引パッケージプランが利用できたので、思ったよりは値が張らずに泊まれました。はじめてのインド国内旅行なので、多少値段がはっても、リスクを最小にしたいという気持ちもありました。雨季とはいえ、3連休の間はずっと晴れていたので、2重にオトクでしたね。

こちらは部屋の中。インドらしさと、機能性とが適度に調和した調度品に彩られた、とても素敵な部屋でした。私たちはパッケージプランだったので庭側の部屋でしたが、レイクパレス側の部屋には、プライベートプールもついています。



こちらはホテルの中にある中庭と噴水です。階段のずーっと奥の最上段に私がいます。向こう側は、スイートルームになっています。


2泊3日の旅程のうち、結局最初の2日はホテルから一歩も出ることなくずっとホテルで過ごしました。最終日に、半日でシティ・パレスとウダイプル最大の寺院であるJagdish Templeを観光しましたが、やはりこの旅行のハイライトはUdaivilasに尽きます。それほどすばらしいホテルでした。

実は、インド赴任後の最初の3ヶ月は、生活を立ち上げるのと、会社で仕事を覚えて人間関係を作るのとで精一杯、しかもムンバイは6月から雨季に突入し毎日天の底が抜けたかと思うくらい雨が降り続けてとても気がめいる日々であり、正直なところ旅行を計画するという精神的な余裕はなく、それでも妻が計画してくれたのでおんぶにだっこでついて行ったというのが本当のところでした。
しかも、最初の3ヶ月でインド人のいい加減さ、平気で約束を破る適当極まりない性格と天性の言い訳の才能(当時はそう思っていたということで、今では文化的な違いとして受け入れることができますが)にホトホトうんざりしていたので、インドで最高級のホテルといったところで、どうせまたインド標準でのサービスなんだろうと、ほとんど期待していませんでいた。

しかしその期待は見事に裏切られました、良い意味で。今から思い返せば、3ヶ月目のこの旅行で心も体もリフレッシュできたからこそ、もう少しムンバイでやってみようという前向きな気持ちを持つことができたと思います。

まず、空港に降りた瞬間に、ムンバイとは違う!と狂喜しました。3ヶ月ぶりの陽射しと、スモッグで汚れたムンバイとは違う新鮮な空気とに包まれて、体から疲れとストレスが少しずつ消え失せていくのが自分でもよく分かりました。

チェックインして部屋に通されたときにウェルカムドリンクとしてフルーツアイスティをいただきましたが、いままでお茶といえば煮出されたチャイばっかりだった身には、胃に染み渡るような感動的な味わいでした。

ホテルは雨季ということもあり、宿泊客は数える程度。プールつきの部屋ではありませんでしたが、ホテルのプールをずっと私たちだけで独占していました。

まるでプライベートプール?


食事もとてもおいしかったのですが、特に、ホテルのディナーのメニューにマグロのカルパッチョを発見したときの喜び、それを食べたときのおいしさを、今でも鮮明に思い出すことができます。正直、インドで生の魚を食べるなんて、衛生状態に問題がないかどうか少し不安でもありました。でも、生の魚なんてもうずっと食べていませんでしたから、食べたい欲求のほうが、不安よりも何倍も大きかったのです。たとえ衛生管理に問題があってこのまま肝炎に倒れようとも、もう構わないと思って食べました(もちろん衛生状態に問題はありませんでした)。本当においしくて、涙が出ました。


いままで3ヶ月間でたまった疲れを全部吐き出してしまおう、ということで、マッサージもしました。

写真は、額にオイルを流して体から毒素を抜くシロダラ(アーユルヴェーダ療法のひとつです)の様子です。


少しは観光のことも書きます。Jagdish Temple、そのすぐ横にあるシティ・パレスを訪れました。観光名所はこのくらいなので、半日もあれば周ることができます。シティ・パレスでは、藩王国の王族の生活の様子が分かる展示や、藩王国同士、あるいはイギリスとの戦争の様子を描いた絵などを鑑賞することができます。

Jagdish Temple



戦争の様子を描いた絵


2泊3日の短い旅程でしたが、心も体もリフレッシュできた旅行でした。これに味を占めて、この後インド国内をたくさん旅行しましたが、当初の期待値の低さと実際とのギャップもあって(それがなくてもすばらしい旅でしたが)、今でも一番印象に残っている旅です。Udaivilasは本当に最高なので、日本からインドに旅行する際にも、ぜひウダイプルを旅程に組み入れることをオススメします。